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 防災・防犯
2007年3月17 日
「あなたの防災力向上講座」報告
第一部 − 江東区総務部防災課課長、松尾 実氏 講演
江東区ではハード、ソフト、両面にわたって防災対策をしている。本日は区の防災対策を簡単にご説明。
・2種類の地震について。
地震には海溝型と直下型の二種類がある。駿河湾沖で起こると想定される東海地震は、マグニチュード8クラスで、100年から150年に一度来るといわれ、安政年間に起こってから、現在152年目にあたり、一番逼迫しているといわれる地震である。これが起こると東海道の動脈が分断され、大変な被害が予測される。江東区では震度5弱から5強の地震に見舞われるといわれている。
直下型地震は、今後30年以内に70%の確率で起こるといわれている。東京都発表の北部地震の場合、江東区の南を震源地とし、6.9、7.3のマグニチュードが想定されている。又、海溝型地震である200年から300年に一度といわれている関東大震災から今年は83年目なので、まだ100年、200年はこないといわれている。江東区では東京湾北部地震も想定した防災計画を今後策定していくが7.3のマグニチュードの規模の地震では建物の2割が全壊するといわれている。
・耐震診断・補強
地震の一番の対策は住宅の倒壊を防ぐことである。以前は耐震診断に対して支援をしていたが、18年度から、無料耐震診断や耐震補強に対する補助金も出しているので、ぜひ、利用してほしい。また高層住宅における耐震診断も江東区では限度額2分の1で、150万円まで、支援する制度を導入している。補助金制度を利用して、耐震診断を行い、補強に結び付けてほしい。
・災害時における情報の収集と伝達
江東区では防災無線のネットワークを取り入れている。4時半のチャイムは防災無線を使って行っている。防災センターが出来上がったとき、無線をアナログからデジタルに変えているので今までよりは聞きやすくなった。町会、自治会などの自主防災組織(災害協力隊)に防災無線を補完するシステムの整備を進めた。
・避難所・避難場所
大地震が起こった時に、地域で避難所・避難場所がどこなのか知っていて欲しい。区発行の20パターンの防災マップがあるので参考にして欲しい。避難場所は12箇所指定されている。避難場所は火災による2次災害から区民を保護するのが目的。南部では6箇所は不燃化が進んでいて、地区内残留地区と指定されている。避難所は学校、大学、公共施設など120箇所指定されていて、家屋が居住不可になったときに生活する場所である。
・備蓄
区は備蓄物資を用意しているが、各自が3日間の水・食糧の備蓄を心がけてほしい。区ではクラッカー、サバイバル・フーズ、アルファ米、粉ミルク、毛布、ゴザ、濾水器、炊き出し用の釜、発電機、缶詰のガソリンなど、避難所である学校等に備蓄している。水は生命維持に一人、一日3リットル必要といわれている。合計、約50日分が応急給水槽や給水所で確保されているが、不自由は否めないので、家族の人数分は備蓄して欲しい。
・消火
街角に3064本の街頭消化器を用意して、初期消火に努めるようにしている。また、補助金を出して消火器の購入を推進している。お年寄りなどの家には配達をしてくれるし、使い方も教えてくれるような付加価値もあるので、ぜひ利用して欲しい。また、消防水利には250mメッシュで100トンの消防水利が確保されている。また、防火水槽も768基を設置している。学校のプール、河川も水利として利用できる。
・災害協力隊
各地域に防災組織があることを知ってほしい。ただし、お年寄りが増えて、組織の活力がやや低下しているので、若い人たちも活動に参加してくれることを願っている。災害時の防災行動を想定して、逃げたくても逃げられない人たちに対して、町会が防災カルテ、防災計画を作って、災害時の弱者対策講じるように取り組んでいる。
・災害協定
イオン・ジャスコ東雲、東京ベイネットワーク(CATV)など、民間団体と災害協定を結んで、緊急時に備えている。また、秩父市や大田原市など、他地域と相互支援の協力関係を結んでいる。
・家族の安否確認
災害伝言ダイヤル171(録音)・172(再生)コールの使い方を知っておいて欲しい。NTTが開設するので必ず使えるようになる。キー番号は自宅番号。体験機が防災センターにあるので、体験して欲しい。
・その他
落下防止対策のパンフもつくっているので参考にして欲しい。自分が助からなければ人も助けられないので、まずは落下物から身を守って欲しい。また、区では、災害時にトイレ対策として303基のトイレをマンホールに直結させて、使用できるようにしている。自宅でも新聞紙を刻み、ビニール袋にいれて、簡易トイレを作るなど災害時にはいろいろと工夫することが必要だ。
簡単ではありますが、ぜひ、震災対策を講じて、一人ひとりが防災力を高めていっていただければと願っています。ありがとうございました。
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第二部 − 防災推進委員会代表、AICAT(国際協力アカデミー)副代表理事
中浜 慶和氏
過去世界で起こったマグニチュード5の地震をプロットすると、世界の地震の12、3%が日本で起こっている。日本の面積は0.1%なので、名実ともに日本は世界で一番の地震国と言える。自宅が神戸にある私は12年前の阪神・淡路大地震による被災地神戸の悲惨さを目のあたりにした。神戸の都心部では阪神地震の傷跡は消えたが、住宅地ではまだ更地のところも多く、生活の復旧は12年経ってもまだ完全ではない。地震の「最大の危機」は発生時点から、家族に会える時までといえる。今日はメインテーマとして、この期間に集中して話をしたいと思う。あの地震の被害は甚大であったが、考えて欲しいのは、あれが早朝に起こったので、あのくらいの被害であったわけで、もし、日中に起こっていたら、被害はさらに甚大なものであったろうということも心に留めておきたい。
・阪神の最大の教訓
10秒の揺れで、ビルや家が傾き倒壊するという大きな被害が起きた。10秒で何ができたかというと、40%の人が「何もできなかった」、28%の人が「布団をかぶった」といっている。早朝でまだ寝ていたので、布団だけはかぶれた。それだけしかできなかったということである。
この地震で、6400人の命が奪われたが、5502名は直後に亡くなった。そのうち、5488名を検視した結果、死亡の9割は建物の倒壊・家具の転倒に起因しており、そのうち、60割の人たちは午前6時前になくなった。これが阪神地震が私たちに突きつけている最大の教訓である。
・「頭を守る」ことの重要さ
10秒で多くの人が亡くなったという教訓は、地震が起こった時、私たちは「頭を守る」という一点のみに集中するべきだということを教えている。「机の下に入れ」と言われていても、いざ、地震が来ると多くの人は硬直してしまうと思われる。どこにいてもなによりも頭を守ること、このことに集中してほしい。
・建物の耐震化
東京直下地震は、10秒より長く、30秒くらい続くといわれている。この時間をどうやって凌ぐか。それにはまず、建物の倒壊を防ぐことが何より重要だ。建物が壊れると、命が失われ、生活が消え、隣近所との付き合いも消える。家を失うということは持っていたものすべてを失うことである。だから是非するべきことは耐震診断を受け、不具合があったときは耐震改修工事をすることである。
耐震診断をして安心を手に入れておくのは大切なことである。東京都の防災関係の人たちに言わせると、普通なら20万円程度かかるが、損得抜きで診断してくれる志を持った人たちもいる。耐震工事は大体マイカーにかかる程度と思えばよいのではないか。耐震診断は車検の費用程度、耐震工事は、概ね車一台分、80万円から140、150万円程度で可能だ。
・家具の転倒防止
建物対策の次に考えるべきことは家具の転倒予防である。阪神地震で、我が家のテレビは飛んで3回転した。電子レンジは転がり、冷蔵庫やピアノも動いた。すべての扉が開いて、中身はすべて投げ出され、ガラス類はすべて割れ、部屋は瓦礫の山となった。背丈より高い家具は倒れると思って間違いない。低い家具でも2段重ねの家具は危ない。いわゆる支え棒は天井に十分な強度があるのかどうかチェックが必要だ。金具で打ち付けるのが一番よいが、家具の移設のたびに壁穴が増え悩ましい対策だ。日曜大工で天井と家具の空間を埋める木枠を作ってはめ込めば力強い転倒防止となる。簡単な防止策としては新聞紙をたたんでたんすの前に突っ込むことだ。これでもたんすは倒れるが、倒れるのが一瞬遅れる。また寝室のたんすは頭を直撃しないような位置にする。倒壊は防げなくても、時間を遅らせる工夫をし、そのわずかな時間で頭を逃すことができる。観音開きの両扉は見てくれは悪いが紐で結ぶのがよい。
・火事対策
阪神での火事の特徴は延焼だった。震度7地域では50%~90%が延焼火災と見られている。なぜ、延焼したか?火を消す人がいなかったから。なぜ、火を消す人がいなかったか?瓦礫の中に埋もれてしまったから。ここでも家屋の倒壊や家具の転倒が災害の元になっている。
火の手があがるまでは3分かかる。たとえ、30秒揺れていても、まだ2分以上あるので、無理して火を消そうとして火傷をしてはいけない。揺れが止まってからの消火で十分対処できる。
何で火を消すか?消火器は強力だが、普段使ったことのないものを、いざという時に使えるかどうか疑問だ。たとえば、身につけている上着とか、手元の座布団、新聞雑誌など普段使っているもので、火を叩いて消すことも考えてほしい。
以上の三つの対策こそ不可欠であり、これによって大地震最大の危機を乗り越えることができる。
・家族の安否
次の対策は家族の安否を確認することだ。松尾課長も説明なさっていたので、詳細は防ぐが、171を“家にだれもイナイ”と覚えておこう。パニックに陥っているときは自宅の番号も忘れがち。紙に書いてポケットに入れておこう。また、30秒の録音時間に何を言うべきか考えてから、171をかけよう。
・避難場所の確認
緊急時の避難場所を知り、平時より家族と話して、避難場所の中のどこで待ち合わせるか、具体的に決めておこう。たとえば、OO公園だけではなく、そのブランコのそばというように。さもないと押し寄せる何千人、何万人もの避難者でぎゅうぎゅうづめになる公園や学校では家族になかなか会えないことになる。
・パニック対策
外にいた場合は、パニックに巻き込まれないようにしよう。住宅やビルが崩壊し、火災が発生。道路がめくれ上がり、液状化が起こる。ブロック塀は倒壊し、ビルからガラスや看板などが飛んできて、電柱が倒れる。そういうところを歩いて帰らなくてはならない。女性なら、ハンドバックで頭をかばうことができる。手ぶらの男性は新聞雑誌でも手に持つべきだ。またビルの直撃物から身を守るには文字通り、寄らば大樹の陰、大きな木の下に身を寄せるのは賢い。木々の枝や葉っぱが落下物の直撃から守ってくれる期待ができる。
地下道、地下街は壊れない。けれど怖いのは人びとのパニックである。地下街は必ず60m以内に出入り口がある。走る群集に加わらないで、勇気をもって、ほかの人と逆の方向に行くのが賢い。ただし怖いのは有毒ガス。ガスは床面から30cmには流れないので、最大40〜50m、地面を這っていけば、出口が見つかるはずだ。
エレベーターは東京で15万、関東で30万基ある。このエレベーターは全部止まる。再起動するには専門エンジニアが必要だが、東京には今のところ3000人程度しかいない。安全装置が機能して外に出られれば幸いだが、エレベーターの扉の壁が地震動でゆがんで運転がロックしてしまえば、かなりの時間を閉じ込められる危険がある。
大地震の際、路面電車はまず動かない。出先から自宅まで歩いて帰れるか?広い道しか歩けない。通常の2倍は時間がかかると考えるべき。通勤通学、買物場所から自宅までのマップを作ることだ。
・トリアージ
緊急時にはすべての病院で医師、看護婦、医療機器、医薬品、ベッドなどが不足する。救える命を救うためには厳しい選択が行われる。危篤状態にある家族よりも、助かる可能性のある人の治療を医師が優先しようとした時に、「どうぞ」と言えるかどうかが問題だ。トリアージは、皆がもっと知っておくべき重要なことである。
・協働の重要性
阪神を地震が襲った時、最初のボランティアは地元の被災者だった。家族・個人、NPO/NGO、自治体や企業など、地元の人たちが、助け合って補完することが重要だ。行政からの支援が届くまで、最初の一歩は市民と企業だ。自治体と企業と町会の、災害支援協定を結ぶことを勧める。国や自治体が地元に駆けつけてくるまでの空白の3日間をどう対応するか、日ごろより対策を練っておくことが重要だ。完璧な対策はない。でも地震から生き延びるチャンスを作ることはいくらでもできる。
・「自助努力のすすめ」震災からいのちを守る心構え25ヶ条
知識に留めず、できることから実践をしてほしい。(なお、25条は、NPOベイエリア安全・安心情報ネットワークのホームページにも記載されているので参照を。)
以上。
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